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フィリピン不動産大手Filinvest、商業モールをREITに組み入れ
フィリピン不動産市場の最新動向:Filinvestの大型取引
2025年1月27日、フィリピンの大手不動産企業Filinvest Land(フィリンベスト・ランド)が、旗艦ショッピングモール「Festival Mall(フェスティバル・モール)」を、同社の公開REIT(不動産投資信託)であるFilinvest REIT(FILRT)に移転する契約を発表しました。本取引の総額は63億ペソ(約1億900万ドル)にのぼります。
この取引により、Filinvest Landは1.63億株のFILRT株式を1株3.85ペソで取得。これは、発表前の金曜日の終値に比べ25%のプレミアムがついた価格です。この結果、Filinvest LandのFILRTに対する持ち株比率は、従来の51%から63.3%へと上昇します。
取引の背景:フィリピン不動産市場のREIT活用の流れ
この動きは、フィリピンの大手不動産デベロッパーが進めるREIT(Real Estate Investment Trust)戦略の一環です。過去2年間で、Ayala Land(アヤラ・ランド)やRobinsons Land(ロビンソンズ・ランド)といった大手企業も、自社の商業施設をREITに組み入れ、資産を流動化する手法を採用しています。
今回のFilinvestの取引により、FILRTの不動産ポートフォリオは37%増加し、合計で約45万2,310平方メートルに拡大。これには、17棟のグレードAオフィスビルが含まれています。Festival Mallは、1980年代後半に開発されたフィリピン南部マニラのアルバン(Alabang)地区に位置する244ヘクタールのビジネス街「Filinvest City(フィリンベスト・シティ)」内にあり、同エリアの経済的価値向上にも寄与すると期待されています。
REITとは?日本人投資家にとってのメリット
REIT(不動産投資信託)は、複数の不動産をファンド化し、投資家に対して配当を行う仕組みです。これにより、不動産を直接所有せずとも、株式のように売買しながら不動産投資が可能になります。
フィリピンのREIT市場は、2020年の法改正以降急成長しており、税制優遇や流動性の向上によって、国内外の投資家から注目を集めています。今回のFilinvestの取引も、REITを活用した資本戦略の一環であり、日本人投資家にとってもフィリピンの不動産市場へ参入する一つの手段となります。
フィリピンREIT投資のメリット
高配当利回り
フィリピンREITは法律により、収益の少なくとも90%を配当に回すことが義務付けられているため、安定した配当収入が期待できます。
成長するフィリピン不動産市場
フィリピンの経済成長に伴い、商業不動産・オフィス市場の需要が増加。特に、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業界の成長により、オフィス需要が引き続き拡大しています。
フィリピンペソ建ての資産運用
フィリピンREITを保有することで、日本円以外の通貨(フィリピンペソ)で資産を持つことができ、為替リスク分散の一環として活用できます。
注意点・リスク
フィリピン市場の変動
フィリピンのREIT市場はまだ新しく、市場の流動性が日本のREIT市場ほど高くないため、短期間での売買には注意が必要です。
為替リスク
フィリピンペソの変動によって、円換算した際の資産価値が影響を受ける可能性があります。
税金
フィリピンでは、外国人投資家に対して配当に対する課税(約25%)がかかります。また、日本に居住している場合、日本の税制に基づく課税も発生するため、二重課税を回避するための対策(外国税額控除など)が必要になります。
ニュースの見解
Filinvestの今回の取引は、日本人投資家にとっても大きなチャンスとなる可能性があります。特に、以下の点が重要です。
- フィリピンREIT市場の成長:大手デベロッパーが積極的に資産をREITへ移行することで、今後も市場の流動性と投資機会が増加。
- 商業不動産の安定性:Festival Mallのような商業施設は、安定した賃料収入を生み出すため、リスク分散の観点からも魅力的。
- フィリピン経済の拡大:経済成長が続くフィリピンでは、商業・オフィス不動産の需要が今後も見込まれる。
日本人投資家にとって、フィリピンREITを活用することで、不動産市場に手軽にアクセスでき、安定した配当を得ることが期待できます。今後も、主要REITの動向やフィリピンの不動産市場の成長に注目し、最適な投資判断を行うことが重要です。