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ロイターに掲載された記事「ドバイ不動産の不動産ブームが下火になる兆しが見えはじめている。」をご紹介します。
ドバイの不動産市場は、2023年に過去最高の431戸が1000万ドル(約15億円)以上で販売され、前年のほぼ2倍となり、世界最大の市場となりました。
巨額のインフラ支出、税金0%の所得税政策、パンデミック後に強化された移民への「門戸開放」アプローチ(取得しやすいVISA)が何千人もの外国人、とくに外国人投資家を惹きつけているのも事実です。
ベターホームズ調査データでは、2023年第1四半期の非居住者住宅購入者のトップはロシア人だったが、年末までに3位に後退し、12カ月間の取引の大部分をインドと英国からの購入者が占めています。
エジプト、レバノン、パキスタン、トルコからの購入者の増加も顕著であり、安全な避難場所としてだけでなく、超富裕層を惹きつける都市としての二重の役割を強調しています。
順調に見えるドバイ不動産市場ですが、懸念されているのは「供給過剰にならないのか?」「外国人富裕層の需要が減らないのか?」という2点です。
ドバイの元財務長官ナセル・アル・シャイク氏によると
「私が心配しているのは世界経済の状況です。私たちは世界に対してオープンであり、他の場所で何が起こっても私たちに影響を与えます。」
「国と地方政府の両方が広範な開発計画を実行する限り、将来の住宅供給は新たな居住者によって吸収されるはずです。」
と述べています。
JLLの中東戦略コンサルティング責任者のミレーユ・アッザム氏によると
「今後2~3年のうちに、とくに高級品セグメントにおいて、供給が需要をある程度上回るだろう。したがって、これは当然、ある種の減速を引き起こすだろう。」
と述べています。
一方で
ナイト・フランクのパートナー兼中東調査責任者によると
「ドバイでは今後6年間で年間1万3000戸の住宅の引き渡しが見込まれており、過去15年間の稼働率3万戸を大幅に下回っており、不足が需要を下支えする可能性があることを示唆している」
クロールのアブデルジャウアド氏によると
「この地域の金融機関や大手開発業者は過去の危機から学び、十分な備えをしている。「市場の焦点は主流の住宅とインフラにさらに移ってきています。」」
と述べています。
ニュースの見解
アナリストによって、かなり見解は分かれています。
ポジティブな意見
- 供給は、需要を下回っている
- 2008年のドバイショックを経験しているため、ソフトランディングできる
- ロシアのウクライナ侵攻などの地政学的な混乱がプラスに働く
- ロシアと中国からの資金流入は徐々に先細りしているものの、インド投資家の関心が高まっているため、景気低迷は迅速かつ浅く抑えられる
- 国と地方政府の両方が広範な開発計画を実行する限り、将来の住宅供給は新たな居住者によって吸収される
ネガティブな意見
- 供給過多である
- 住宅価格は今後数年間で10~15%下落する可能性がある
- 世界の混乱が終息すると、ドバイの不動産価格も下がる
- ドバイの仲介業者の数は2020年の1,200社から約4,000社に急増していて、それが長期にわたる景気減速に対してより脆弱
ドバイ不動産では、供給自体が伸びていること自体は事実ですが
- 供給増加を吸収できる需要が作れる。今の状況が続く、または需要が増加する
- 供給増加を吸収できるほど需要が作れない。減退する
で意見が分かれています。
大きな理由としては、世界情勢が不安になればなるほど、富裕層の避難先としてドバイは選ばれやすいという特徴があるからです。
世界情勢が安定的になるほど、ドバイの不動産需要は減りやすく、世界情勢が不安定なままであればドバイの不動産需要は根強いものとなる
ということです。
「世界情勢がどうなるのか?」は、どんなアナリストでも予想しにくいものですから、「ドバイの不動産需要が供給を上回れるのかどうか?」も、同じように予想しにくいものとなり、見解が分かれているのが実情ということになります。
筆者の意見としては
世界情勢が不安定な状況が続き、税金0%でビザが取りやすい戦略をドバイが取っている以上は、安定的な需要は維持できるのではないか。
と考えます。
投資するうえでは、中長期的な視野で、国の状況を見定める必要があります。