
「アブダビってどこですか?」
「アブダビ不動産って買えるですか?」
「アブダビ不動産投資ってどうなんですか?」
アブダビ不動産の購入、アブダビ不動産投資を検討している方もいらっしゃるかと思います。今回は、アブダビ不動産投資、アブダビ不動産の買い方・メリットデメリット・リスク・利回り・税金まで、徹底的に検証したいと思います。
そもそも、アブダビ不動産は日本在住の日本人が買えるの?
購入できます。
UAEには、外国人の土地所有を認める法律は存在しないため、アブダビを含む各首長国が独自の法律で外国人の土地所有を規定しています。
アブダビでは、UAEおよびその他GCC諸国の国民(または同100%出資企業)に対しては所有または99年間の長期リースが可能です。その他の外国人は指定地域に限り可能となります。
指定されたフリーホールドゾーン内の不動産であれば、外国在住の外国人も、ドバイ国内の不動産(マンション・戸建て)を購入することができます。
外国人所有者向けに指定された地域は、アブダビ首長国の統治者によって決定され、アル・リーフ、ヤス・アイランド、サディヤット・アイランド、アル ラハ ビーチ、マスダールシティ、アル・リーム・アイランドなどが含まれます。
アブダビという国とは?

そもそも、アブダビは「国」ではありません。アブダビは、アラブ首長国連邦(英: United Arab Emirates)、UAEの都市の名前です。アラブ首長国連邦(UAE)の首都がアブダビです。
アラブ首長国連邦(UAE)は、中東に位置する国で、7つの首長国からなる連邦制国家です。
- アブダビ首長国
- ドバイ首長国
- シャルジャ首長国
- アジュマン首長国
- ウンム・アル・カイワイン首長国
- フジャイラ首長国
- ラス・アル・ハイマ首長国
からなる連邦国家がアラブ首長国連邦(UAE)です。各首長国は世襲の首長による絶対君主制に基づき統治されています。
UAEの各首長国の人口・GDP
| 首長国 | 首長家 | 人口 | 面積 | GDP | 1人あたりGDP |
|---|---|---|---|---|---|
| アブダビ | ナヒヤーン家 | 1,593,000人 | 67,340㎢ | 2,191億ドル | 65,700ドル |
| ドバイ | マクトゥーム家 | 3,670,011人 | 3,885㎢ | 1,381億ドル | 44,600ドル |
| シャルジャ | カーシミー家 | 1,872,000人 | 2,590㎢ | 561億ドル | 32,100ドル |
| アジュマン | ヌアイミー家 | 504,846人 | 359㎢ | 109億ドル | 22,600ドル |
| ウンム・アル・カイワイン | ムアッラー家 | 49,159人 | 720㎢ | 7億ドル | 7,700ドル |
| フジャイラ | シャルキー家 | 256,256人 | 1,580㎢ | 68億ドル | 23,500ドル |
| ラス・アル・ハイマ | カーシミー家 | 345,000人 | 1,684㎢ | 143億ドル | 30,700ドル |
| 合計 | - | 10,763,445人 | 78,158㎢ | 4,460億ドル | 48,000ドル |
アブダビ(Abu Dhabi)は、UAEの中でも最大の面積、人口、収入を持つ都市です。UAEの首都とアラブ首長国連邦の連邦首都を兼ねる同名の都市(アブダビ市)もアブダビ首長国内にあります。
広大な国土に埋蔵された豊富な石油資源によって連邦の政治、経済を支える事実上のリーダーという位置づけの首長国です。アブダビ市は、アル ナヒヤーン家の一員であるUAE大統領の本拠地でもあります。アブダビ証券取引所、アラブ首長国連邦中央銀行、アブダビ投資庁、大手通信会社のエティサラート、国営石油会社のADNOC、アブダビ海上操業会社(ADMA-OPCO)などの大企業も、アブダビにあります。
膨大な石油とガスの埋蔵量と生産、そして比較的高い平均収入と相まって、大きく発展した大都市となっています。アブダビは、国の政治と産業の中心地であり、文化と商業の主要な中心地でもあります。アブダビは約5030億ドルのUAE経済の約3分の2を占めます。
政治
アブダビは、UAEの首都であるため、アラブ首長国連邦政府の本部、アラブ首長国連邦大統領の事務所、および連邦最高評議会の議席としても機能します。
経済
UAEは、豊富な炭化水素資源により、一人当たりGDPが世界で最も高い国の一つとなっており、アブダビはこれらの資源の大部分(石油の95%、ガスの92%)を所有しています。アブダビは、世界の確認された石油埋蔵量の9%(982億バレル) と世界の天然ガスの約5%(58億 立方メートル) を保有しています。
2009年、アブダビ政府は経済計画を多様化しました。原油価格の高騰により、同国の非石油・非ガスGDPはエネルギー部門によるGDPを上回り、非石油・非ガスGDPはUAEの総GDPの64%を占めています。この傾向はアブダビにも反映されており、産業、不動産、観光、小売りへの新たな多額の投資が行われています。アブダビはUAE最大の産油国であるため、この傾向から最大の恩恵を受けています。 UAEは炭化水素部門への依存を減らすために、積極的な多角化と自由化プログラムに取り組んでいます。
アブダビ不動産データ
アパートメント
| エリア | 平方フィートあたりの価格 | 昨年対比 | 不動産価格スタジオ | 不動産価格1ベッド | 不動産価格2ベッド | 利回り |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アル リーム アイランド(Al Reem Island) | 1064 | 3.34% | 585,000 | 858,000 | 1,422,000 | 6.54% |
| ヤス アイランド(Yas Island) | 1400 | 6.70% | 750,000 | 1,075,000 | 1,822,000 | 6.20% |
| アル ラハ ビーチ(Al Raha Beach) | 1251 | 2.10% | 913000 | 1162000 | 1703000 | 5.78% |
| サディヤット アイランド(Saadiyat Island) | 2251 | 15.11% | 926,000 | 1,998,000 | 3,984,000 | 3.63% |
| アル マリア アイランド(Al Maryah Island) | 1,420 | 4.77% | 593,000 | 867,000 | 1,180,000 | 10.21% |
ヴィラ
| エリア | 平方フィートあたりの価格 | 昨年対比 | 不動産価格スタジオ | 不動産価格1ベッド | 不動産価格2ベッド | 利回り |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ヤス アイランド(Yas Island) | 1243 | 4.74% | 2,887,000 | 4,302,000 | 5,591,000 | 4.72% |
| サディヤット アイランド(Saadiyat Island) | 1418 | -5.54% | 6,831,000 | 7,126,000 | 9,925,000 | 5.92% |
| アル リーム アイランド(Al Reem Island) | 1098 | -2.43% | 2,796,000 | 4,321,000 | 11,532,000 | 6.34% |
| アル・マタル(Al Matar) | 1358 | 18.60% | 3,312,000 | 5,422,000 | 5,069,000 | 5.43% |
| アル ラハ ガーデンズ(Al Raha Gardens) | 5.92% |
アブダビ不動産が不動産投資で注目される理由・メリット
1.アブダビの人口は今後増加する予定
UAEという国も人口は増加傾向です。
ドバイ(アラブ首長国連邦)の総人口推移
同時にアブダビの人口も増加する予測です。
アブダビの人口

2.不動産価格が上昇
アブダビの不動産価格は、安定的に上昇しています。
アブダビの不動産価格の推移

3.ドバイと比較するとアブダビは、不動産価格が割安
アブダビとドバイの不動産価格比較表(㎡単価)+価格倍率です。(2025年初頭時点)
| 地域 | 平均価格(AED/㎡) | 平均価格(USD/㎡) | ドバイとの価格倍率(ドバイ ÷ アブダビ) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| ドバイ | 約18,837 AED | 約5,128 USD | ― | 高需要・観光・商業エリア中心 |
| アブダビ | 約8,611 AED | 約2,343 USD | 約2.19倍 | ヤス島など再開発・観光地拡大中 |
- ドバイはアブダビの約2.19倍の㎡単価
- アブダビは価格に割安感があり、利回り狙いや中長期成長投資に注目されつつあります。
- どちらも外国人購入可のエリアですが、ドバイは流動性が高く、アブダビは安定志向の傾向。
4.明確な目標設定の経済計画がある「アブダビビジョン2030」
Abu Dhabi Vision 2030
Abu Dhabi Vision 2030(アブダビ・ビジョン2030)は、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビが、石油に頼らず持続可能に発展するための都市づくりの長期計画です。
主な目的
- 石油依存からの脱却
- 経済の多角化(観光・文化・教育・再生可能エネルギーなど)
- 都市インフラの整備(住宅・交通・空港など)
- 国際的に魅力ある都市を目指す
注目ポイント
- サディヤット島:ルーブル・アブダビなど文化施設が集中
- ヤス島:テーマパークや商業施設が開発(ディズニー誘致の噂も)
- ゼロカーボン都市「マスダール・シティ」構想
アブダビは今後、人口増加や観光需要に対応するために大規模な都市開発を進めており、不動産投資先としての魅力も高まっているのが特徴です。
5.アブダビにディズニーランドが登場することが公式発表
2025年5月、ウォルト・ディズニー社はUAEのミラルグループと正式に提携し、アブダビのヤス島に新たなディズニーランドリゾートを建設することを発表しました。これはディズニーにとって世界で7番目、中東初のテーマパークとなります。
Disneyland Abu Dhabiの開業時期について、公式な発表はまだありませんが、Disney Experiencesの会長であるJosh D’Amaro氏によれば、設計に1〜2年、建設に4〜6年を要すると見込まれています。これに基づくと、開業は2032年から2033年頃になる可能性が高いとされています 。
6.税金がない
アブダビが富裕層に選ばれる最大の理由が「税金がないこと」です。
これはドバイ不動産と同様で、ドバイも、アブダビも、アラブ首長国連邦(UAE)なので、同じ税制になります。
これは非常に重要なポイントと言えます。移住ニーズの高い税制となっています。
- 所得税:0%
- 消費税:5%
- 相続税:0%
- 贈与税:0%
- 固定資産税:0%
- 法人税:9%
※2023年6月~。AED:375,000(約1,500万円)以下の小規模事業者は対象外。また、フリーゾーン企業については、施行規則の条件をすべて満たす場合には免税
と、すべてが税率0%というわけではありませんが、ほとんどの税率が0%になっています。
富裕層にとってみれば、相続税も、贈与税も、所得税も、ないのですから、「アブダビに移住したい」というニーズが高まり、不動産需要が高まっているのです。
同時に、不動産を購入する人にとっても、不動産に関する税金が低いのは大きなメリットと言えます。不動産を賃貸に回した賃料収入に対しても、所得税が0%なので、全額自分の収入となります。他の国では、20%~30%は、所得税で取られてしまいます。
7.不動産購入でビザの取得が可能
アブダビでは、不動産を購入するとビザが取得できます。
- 約3,000万円の不動産購入(AED 750,000 ) → 3年間のレジデンスビザ
- 約8,000万円の不動産購入(AED 2,000,000 ) → 10年間のゴールデンビザ
です。
これも税制と同様ですが、ドバイも、アブダビも、アラブ首長国連邦(UAE)なので、同じ仕組みになります。
ゴールデンビザであれば、通常ビザと異なり、6カ月以上の海外滞在も可能ですので、日本に拠点を持ちたい場合にも最適なビザです。2拠点生活をしやすくなるなど、メリットが多いビザと言えます
8.ドル連動の通貨
ドバイ(アラブ首長国連邦)の為替「AED/JPY」
ドバイ(アラブ首長国連邦)の為替「AED/USD」
アブダビで利用されている通貨は「ディルハム(AED)」です。
「ディルハム(AED)」は、ドバイに限らずUAEの全7首長国における公式通貨です。
- 「ディルハム(AED)」は、「米ドル」に連動する固定相場制の通貨です。
- 1ドル(USD)=3.67ディルハム(AED)
で固定されています。
世界の基軸通貨である米ドルと連動しているため、為替変動リスクが低いのが特徴です。日本円で資産運用されている方の場合は、米ドル/円の為替に左右されることになりますが、米ドルを資産としている方にとっては、為替リスクは低いのです。だからこそ、世界中の投資家からお金が集まりやすいと言えます。
9.エスクローが義務付けられている
アブダビでは不動産開発業者に対して、政府によるエスクロー口座の開設が法的に義務付けられています。
エスクロー口座の義務化:アブダビ不動産法の概要
アブダビの不動産法(例:2015年の法律第3号)では、特にオフプラン(未完成)物件の販売を行う開発業者に対して、以下の要件が定められています。
- 各プロジェクトごとに専用のエスクロー口座を開設し、買主からの支払いをその口座に預け入れること。
- 開発業者と信託機関(アカウント・トラスティー)との間でエスクロー契約を締結すること。
- 建設進捗が20%以上に達するまで、エスクロー口座から資金を引き出すことはできない。
- プロジェクトごとにエスクロー口座を開設し、段階的な開発の場合は各フェーズごとに別々の口座を設けること。
これらの規定は、買主の資金を保護し、開発業者の資金の適切な使用を確保することを目的としています。
買主保護のための追加措置
- プロジェクトが完了しない場合、エスクロー口座の資金は買主に返還される。
- 開発業者が契約違反をした場合、買主は法的手続きを通じて救済を求めることができる。
これらの措置により、買主は安心してオフプラン物件への投資を行うことができます。
アブダビ不動産の不動産投資におけるデメリット・リスク
1.為替リスク
ドバイ(アラブ首長国連邦)の為替「AED/JPY」
ドバイ(アラブ首長国連邦)の為替「AED/USD」
ディルハムが上がっているというよりは、円が弱くなっているという状況です。円安の時にアブダビ不動産を購入し、円高になれば、為替差損が発生します。
為替差損が発生するリスクはあると考える必要があります。
2.ディベロッパーの建設がとん挫するリスク
アブダビではありませんが、2009年にドバイショックが起きています。
2009年11月25日に、アラブ首長国連邦 (UAE) ドバイのドバイ政府が、政府系持株会社ドバイ・ワールドの債務返済繰り延べを要請すると発表したことに端を発し、世界的に株式相場が急落した現象のことを言います。ドバイ・ワールドは、ナキールタワーなどの超高層ビル建設や人工島パーム・アイランド造成などの大規模開発を手がける不動産開発デベロッパーのナキールなどを保有する政府の持株会社です。
リーマン・ショックに端を発する2007年からの金融危機によって不動産ブームが縮小したことなどにより、その経済は急激に減速していて、ドバイ政府はドバイ・ワールドと、その傘下のナキールなどの企業を含めた事業の再編に動き、その手始めに返済延期を要請することを発表しました。これはドバイ政府が大手政府系企業への財務支援を適切に行うことができなかったことを意味すると受け止められ、各格付け会社は25日遅くドバイの債務格付けを引き下げた。ナキールと並ぶ不動産デベロッパーであり、世界で最も高い超高層ビルであるブルジュ・ハリファを開発したエマール・プロパティーズも、ムーディーズによる格付けが非投資適格(ジャンク)級に引き下げられた。
という過去の負の実績があるのが事実です。
ドバイでは、エマールやナキールは、政府系のディベロッパーだから安心と言われていますが、そうとも言い切れないリスクがあるのです。ただし、現在は、ドバイ不動産では、エスクローが義務付けられているため、上記の心配はかなり低くなっています。
3.税制の変更リスク
前述したようにアブダビでは「税金がほとんどかからない」という大きなメリットがあります。
しかしながら、UAE政府も、徐々に税金を取る形にシフトしていっている現状があります。
経済が発展し、移住者が増えるにつれて、税金も取っていかないと国が成り立たなくなっていくのも、仕方がないことと言えます。
いつまでも、「税金がほとんどかからない」状態が維持されるわけではなく、政策の変更で、税金が上がってしまう可能性があることは、一つのリスクと言えます。
4.カントリーリスク
アブダビがあるアラブ首長国連邦(UAE)は、イスラム教の国です。
富裕層の移住に、最大のネックになるのは「イスラム教であるため、NGが多い」という点です。
イスラム教では
- アルコール
- 利子
- お酒
- 豚肉
- 女性が人前で肌を見せること
などが禁止されています。
ドバイでは、上記のルールが非常に緩く設定されていて
- 外国人であれば、ホテルなどではお酒が飲める
- 外国人であれば、豚肉も食べられる
- 外国人であれば、女性が肌を見せても大きな問題にはならない
と、外国人が移住しやすい環境を整えています。
しかしながら、
- スーパーなどではお酒は売っていない
- あまりに露出した服装で女性がいると、ジロジロ見られる
- イスラム教の女性の写真を撮るとトラブルが起こる
など、いろいろな制約があることも事実です。
これらのネックが、富裕層の移住にマイナスの影響を与える可能性はあるのです。
また、ドバイと比較すると、アブダビの方がイスラム教の戒律が若干厳しめというデメリットがあります。
おすすめのアブダビ不動産物件情報
アブダビ不動産投資としての見解
アブダビは、不動産投資で注目が高まっているエリアです。UAEの不動産市場におけるリーダーの地位をめぐってドバイと競争しています。アブダビは外、国人投資家の間でますます人気を集めています。2023年上半期のアブダビ不動産への外国投資は、前年同期比363%増加しました。
アブダビのエンターテイメントと文化インフラの発達により、毎年多くの観光客がアブダビに集まり、賃貸不動産の需要にプラスの影響を与えています。UAEの首都アブダビは、年末までに2,400万人の観光客を迎えるという目標を設定しています。この首長国は世界中からの観光客を歓迎しており、最も多くの外国人観光客がサウジアラビア、インド、英国、米国から来ていました。
アブダビの観光人気が高まっているのは、ユニークなリゾート、受賞歴のあるテーマパーク、文化的名所、そして発達したエンターテイメントインフラの存在によるものです。アラブ首長国連邦の首都で最も人気のあるランドマークには、ルーブル アブダビ、東部マングローブ国立公園、シェイク ザイード グランド モスク、シーワールド アブダビ、フェラーリ ワールド アブダビなどがあります。さらに、アブダビ グッゲンハイム美術館とサディヤット文化地区のザイード国立美術館は、2025年に開館します。
世界中からの観光客の間で首長国の人気が高いため、賃貸不動産に対する大きな需要が生じています。これは、不動産を賃貸して安定した収入を得たい投資家にとってはメリットとなります。
現時点では、アブダビの賃貸価格の伸びは、ドバイの高騰には及ばないものの、引き続きプラスの動きを示しています。
また、ドバイ同様に、所得税の免除やゴールデンビザなどもあるため、移住の選択肢として、ドバイと並んで検討されるエリアになっています。
さらに、アブダビでは、2030年に万博が開催され、数百万人の観光客が集まり、地元経済が活性化します。万博会場周辺の不動産や、流入する観光客に対応する不動産への投資は、戦略的な動きとなる可能性があります。
まとめると
現在はドバイの不動産価格の上昇には及ばないものの、首都であり、豊富な石油資源による圧倒的な経済力があるのがアブダビです。その経済力を惜しみなく、不動産・インフラ・新規プロジェクトに投資する政府の方針があるため、今後の発展という意味では、ドバイよりも強い都市になる可能性を秘めているエリア
と言えます。
アブダビ不動産も、ドバイ不動産と比較して、同じような価格帯、同じような利回りになっていますが、継続した発展という意味では、経済力が圧倒しているアブダビに軍配が上がる可能性が高く、おすすめの投資エリアと言えます。

ドバイでキャピタルが取れる場所が少なくなってきている中で、今後、大きなキャピタルゲインを期待できます。
アブダビ不動産 最新動向
マクロ環境・金利
- 経済と人口・投資動向
アブダビは引き続き原油+脱炭素の両輪で成長しており、国全体のインフレ見通しは2025年は1.5%前後と比較的落ち着いた水準に引き下げられています。
エネルギー公社ADNOCは2026〜2030年に1,500億ドル規模の投資計画を打ち出しており、上流・ガス・低炭素事業への大型投資が雇用・所得を押し上げ、不動産需要の中長期の下支え要因になっています。
加えて、文化施設(ルーヴル・アブダビ、今後のグッゲンハイムなど)への投資や高級ブランドの誘致によって、「富裕層向け文化・ラグジュアリー都市」としてのポジションも強化されています。 - 政策金利と住宅ローン環境
UAEは通貨を米ドルにペッグしているため、米国に連動した利下げが2025年秋から始まり、 - 9月:基準金利を4.40%→4.15%へ
- 10月末:さらに4.15%→3.90%へ引き下げ
と、2カ月連続の利下げで、2022年以降で最も低い水準になっています。
これにより住宅ローン金利もジワジワ低下しており、特に一次取得層・長期居住目的の購入に追い風になっています。 - 不動産市場全体の勢い
アブダビの不動産市場は2025年も勢いが続き、2025年上期の不動産取引額は約540億ディルハムで過去最高水準、うちオフプラン(建築中)案件が約250億ディルハムと、投資・実需の双方から資金が流入しています。
Q3 2025時点では、第三者データでも「過去最強の成長局面」とされ、価格指数は前年比+10%超、取引件数も大幅増となっています。
住宅(分譲・賃貸)
- 価格・取引のトレンド
- 2025年Q2時点で、首都圏全体の住宅価格は前年比+8〜17%程度の上昇ペース(四半期ベースでも+2〜6%)。
- 価格指数(ValuStrat Price Index)はQ3時点で2021年Q1比+33%、前年比+10.5%に到達し、上昇トレンドが継続しています。
- 2025年H1の取引額は過去最高、Q3は前年同期比+76%という記録的な伸びで、特にオフプラン案件の販売が大きく伸びている状況です。
- 賃料・利回りと稼働
- 賃貸市場は家賃の上昇が価格上昇を上回る局面で、2025年Q2のデータでは
- 総合賃貸利回り:約8.1%
- アパート:8.5%
- ヴィラ:7%
- 住宅稼働率:約88%
と、投資家にとっても非常に厚いインカム利回りを維持しています。
- 他のレポートでも住宅利回りは概ね6〜8%台で安定しており、過去5年間で6%前後を維持してきたとされています。
- エリア別の動き
- サディヤット島・ヤス島・アルリーフ・アルラハビーチ・マスダルシティなど、外国人が自由保有できる投資エリアでは、高所得駐在員・富裕層・長期居住志向の家族からの需要が強く、価格・賃料ともに上昇が目立ちます。
- 一方で、中心部の築古アパートでは、家賃上昇が続く中で改装・リポジショニングを前提にした投資が増えつつあります。
- 住宅ストックは2025年Q3時点で約30.5万戸とされ、今後数年で約3.3万戸の新規供給(2030年まで)が予定されていますが、人口増と家族帯同の増加ペースを考えると、当面は需給タイトな状況が続きやすいとの見方が多いです。
- 買い手の顔ぶれと資金調達
- エミラティ(UAE国民)と長期居住の外国人駐在員が主な実需層で、そこに湾岸・インド・欧州などからの投資マネーが重なる構図です。
- ゴールデンビザ(10年居住権)を目的とした2百万AED以上の物件購入も根強く、オフプラン・完成済みのいずれでも条件を満たせば対象になります。
- 金利低下と競争的なモーゲージ商品により、自己資金2〜3割+住宅ローンという形でのレバレッジ投資もしやすくなっています。
オフィス
- 賃料・空室の状況
- アブダビのオフィス市場は、賃料上昇と空室率低下が同時に進んでおり、特にグレードAのCBD・金融街(例えばアルマルヤ島周辺)では「空きが出ればすぐ埋まる」水準のタイトな需給になっています。
- 政府系企業・エネルギー関連・金融・プロフェッショナルサービス企業が拡張を続ける一方、新規のハイクオリティオフィス供給は限定的で、テナント側がフロアレイアウトやESG対応などで妥協しにくい状況です。
- テナントニーズの変化
- コロナ後も「完全リモート」ではなくハイブリッド&ハブ拠点が主流で、良質なビルでは床の細分化・共用部のアップグレード・サービスオフィス併設など、柔軟性を高める動きが進んでいます。
- 省エネ性能・グリーン認証・防災性能などのESG要件を満たす物件は、賃料プレミアムを受けつつ高稼働を維持しやすいです。
リテール・商業
- モール・路面店のパフォーマンス
- 2025年Q3のデータでは、アブダビの平均小売賃料は前年比約8%上昇とされ、UAEの中でも堅調な伸びを示しています。
- 2025年Q1時点で、アブダビのリテールGFAは約321万㎡まで拡大しつつも、プライムモールの稼働率は高水準を維持しています。
- 高級・体験型リテールの伸長
- 富裕層向けのラグジュアリーブランドや体験型ポップアップが増えており、The Galleriaなどのハイエンドモールや新ターミナルを活用した「文化×ブランド体験」が観光・地元富裕層の両方を惹きつけています。
- 出店者側は、プライム区画では固定+歩合賃料での条件提示が一般的で、二等立地では家賃インセンティブや内装支援など、柔軟な条件提示でテナントミックス最適化が図られています。
ホテル・観光
- 稼働率と収益性
- UAE全体で見ると、2025年8月までのホテル指標は平均稼働78.5%、RevPAR(客室収益)+11.9%と非常に好調で、その中でアブダビはRevPAR+24%、ADR(平均客室単価)+20.2%と最も強い伸びを記録しています。
- 夏シーズン(2025年)のアブダビは稼働78%、ホテル収入+17%と、オフピーク期としては高水準です。
- 10月の「ショーダウン・ウィーク」(UFCイベントを核とした大型フェス)期間は、月間稼働86.2%、ADR約809AED、RevPAR約697AEDと、2009年以降で最高の10月実績となりました。
- 需要の中身
- 訪問目的は、観光・ビジネス・MICEがバランス良く構成されており、文化施設・スポーツイベント・高級リゾートがレジャー需要を、官公庁・エネルギー企業・国際会議がビジネス需要を支えています。
- 新規ホテル開発はペースがやや落ち着きつつあり、既存ストックのリノベーションやブランデッドレジデンス併設といった「質の向上」に軸足が移っています。
物流・工業
- 賃料の高騰と供給ひっ迫
- 産業・物流系はUAE全体で新たな成長サイクルに入り、2025年時点で
- アブダビのグレードA倉庫賃料:前年比+13〜22%
- グレードA倉庫の平均稼働:約95%
と、明確な供給不足+賃料上昇局面になっています。
- 主要エリアであるKEZAD Musaffah(ICAD)やムサファー、Al Markazでは、前年比+50%超の賃料上昇が見られるなど、2年で約50%上昇したとの指摘もあります。
- 需要のドライバー
- 3PL(サードパーティ物流)、EC、リテールチェーン、軽工業の拡張が主な需要源で、港湾・空港・幹線道路に近い大型物流施設へのニーズが集中しています。
- 建設中の施設の多くは事前リーシングでかなり埋まっているとされ、今後も賃料・キャップレートにプレミアムが付きやすいアセットクラスになっています。
REIT・資本市場
- デベロッパー・大家業の収益環境
- アブダビ最大手デベロッパーであるAldar Propertiesは、2025年9カ月累計で純利益60億ディルハム(前年比+30%)、Q3単独でもUAE開発販売で四半期売上記録を更新しています。
- 投資用不動産(リテール、オフィス、物流、ホスピタリティ等)ポートフォリオは、高稼働率と賃料増加、M&Aによる拡大で収益が伸びており、安定した配当を出しつつ成長投資も行うモデルが定着しつつあります。
- REIT・上場商品
- アブダビ証券取引所(ADX)には、不動産関連株やREIT/ETFが複数上場しており、配当利回り5〜7%前後を狙うインカム投資の選択肢となっています。
- 香港取引所との提携など、国際的な資本市場連携も進んでおり、今後はクロスリスティングやESG関連商品を通じた資金流入が期待されています。
制度・規制トピック
- 外国人所有とフリーホールドゾーン
- 2019年の法改正以降、外国人(個人・法人)はアブダビの指定投資エリア内でフリーホールド(実質的な永久所有権)による不動産保有が認められています。
- 外国人が購入できる主要エリアは、
- ヤス島
- サディヤット島
- アルリーフ
- アルラハビーチ
- マスダルシティ などで、ここに高付加価値の住宅・複合開発が集中しています。
- ゴールデンビザと投資インセンティブ
- 不動産経由のゴールデンビザは、
- 10年ビザ:2百万AED以上の物件投資(オフプラン・モーゲージ可)
- 2年ビザ:75万〜100万AED以上の物件投資(条件により)
といったスキームがあり、家族同伴・使用人帯同なども認められています。
- 2025年の各種レポートでは、ビザと不動産投資のセットが外国人の中長期滞在を後押しし、住宅・オフィス・リテールの基礎需要を底上げしていると評価されています。
- 市場透明性の向上
- 2025年には、評価・データ開示・規制面でもアップデートが入り、取引統計の公開や評価ルールの明確化により、海外投資家にとっても意思決定しやすい環境が整いつつあります。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
- 実需+投資の両面で需要が強い一方、供給は比較的コントロールされており、家賃の伸び>価格の伸びという構図から、インカム狙いには魅力的な局面が続いています。
- 特に、サディヤット島・ヤス島のヴィラ/タウンハウス、海沿いのファミリー向け物件は、長期居住志向のテナントが多く、空室リスクが低い代わりに取得価格は高めです。
- オフプランは値上がり期待が大きい一方で、引渡し遅延リスクや完成品質リスクがあるため、デベロッパーの信用力と契約条件(遅延補償など)の確認が必須です。
- オフィス
- グレードA・中心立地・ESG対応済みのビルは、今後も安定稼働と賃料成長が見込みやすく、長期テナント(政府系・ブルーチップ企業)との長期契約が組めれば、ボラティリティの低いキャッシュフローを狙えます。
- 一方、グレードB/Cは改装やサービスオフィス化で差別化できるかが勝負で、CAPEXを前提に利回りを組み立てる必要があります。
- リテール
- プライムモールの区画は空きが少なく、長期での安定賃料+インフレ連動を狙える一方で、初期投資額は高めです。
- 二等立地のストリップ型リテールは、ローカルサービス業・F&B向けにまだ余地があり、賃料交渉もしやすいため、リスクをとって利回りを高めたい投資家向きです。
- ホテル・観光
- 現時点では、需要に対して供給が急増しているわけではなく、既存ホテルの収益性改善フェーズにあります。RevPARの伸びを考えると、既存アセットの再生・取得も検討に値します。
- 特に、イベント期(F1、UFCなど)にピーク料金を取れるロケーションは、キャッシュフローの季節変動がある代わりに、平均ADRを押し上げる効果が大きいです。
- 物流・工業
- 物流は明らかに成長セクターで、賃料上昇・高稼働・将来供給のプレミアムなどを考えると、長期での賃料成長とキャピタルゲインが両立しやすいアセットクラスです。
- ただし賃料が短期間で急騰しているため、テナントの支払能力・契約更新リスクの見極めが重要になります。
- REIT・株式
- 個別物件ではなく、Aldarなどの開発・投資プラットフォームやREITに分散投資する方法も有力です。
- 配当+値上がりの両取りを狙いやすい一方、市場全体のセンチメントや金利動向に左右されるため、不動産サイクル+株式市場サイクルの二重のボラティリティを意識する必要があります。
リスク・留意点
- 価格調整リスク
- アブダビはドバイほど過熱していないとされるものの、UAE全体として住宅・物流ともにここ数年で大幅な値上がりが続いており、他の都市(特にドバイ)では2025年後半〜2026年に二桁の価格調整を警戒する声も出ています。
- アブダビ単体でも、新規供給が一気に出てくるエリアでは賃料の頭打ち・値引き販売の可能性があります。
- 金利・為替リスク
- 現在は利下げ局面ですが、米国の金融政策次第では再度の利上げ・長期金利上昇もあり得ます。モーゲージ利用のレバレッジ投資は、返済負担が上がるシナリオも織り込んだ保守的なキャッシュフロープランが必要です。
- プロジェクト遅延・建設コスト
- 物流・高層住宅とも、建設コスト上昇と人材不足から工期が伸びるケースがあり、オフプラン投資では引渡し遅延リスクを前提に契約条文(ペナルティ・補償)を確認した方が安全です。
- 政策・規制の変更
- ゴールデンビザや外国人所有ルールは、基本方向は「オープン」ですが、将来最低投資額の引き上げや税制改正が行われる可能性もゼロではありません。長期保有を前提に、制度が変わっても成立する収益性かを検証しておくと安心です。
まとめ
2025年12月時点でのアブダビ不動産は、
- 住宅:賃料・価格ともに上昇基調で、利回り6〜8%+中期の値上がりが期待できる一方、人気エリアはすでにかなり割高感も出てきている状況です。
- オフィス:グレードAの中心立地は空室が少なく賃料も上昇、ESG対応ビルに需要が集中しています。
- リテール:ラグジュアリーと体験型テナントを軸に、プライムモール中心に賃料がジリ高です。
- ホテル:イベント・観光を背景に稼働・ADRとも過去最高級の水準で、既存アセットの収益力が高まっています。
- 物流・工業:UAE全体の中でも最もタイトなセクターの一つとなっており、賃料上昇と高稼働が続いています。
総じて、アブダビは「利回りの高さ(特に住宅・物流)とマクロ安定性」を兼ね備えた市場になっており、ゴールデンビザやフリーホールド拡大などの制度面の後押しも相まって、中長期での資産防衛・インカム投資の候補として注目度が高い状態が続いている、と整理できます。
